助成金・補助金

助成金とは、例えば職場環境の改善を図った場合、非正規社員を正社員にした場合、女性の活躍を推進した場合、高齢者の方を雇用した場合など、一定の労働条件・環境の整備をすることにより、国などから助成が受けられる制度です。助成金活用にあたり大切なことは、助成金を受給するために、会社本来の事業活動がおろそかにならないように、助成金目当てにこのようにしようではなく、これをするために助成金を活用しようというスタンスを持っておくことです。助成金の多くは、国(厚生労働省)が事業主のみ皆さんから集めた雇用保険料を財源として支給されています。雇用保険料は、労働者が失業したときに支給される失業手当にも使用されますが、厚生労働省が取り決めた助成金の財源にもなっています。

助成金は、失業の予防、雇用機会の拡大、雇用状態の改善、能力開発などを目的とし、一定の条件を満たす会社に国などが支給する交付金ですので、融資とは異なり返済は不要となります。しかし、申請のわずらわしさや制度の認知不足のため、活用されていない部分もあります。受給要件を満たしていても申請しなければ受給はできません。原則として、申請期限を過ぎての申請は一切受け付けられないため、事前の準備も大切となります。弊所は、顧問先さま、創業者さまを中心に、事業計画に盛り込んだご提案と数多くのサポート実績がありますので、ご不明点がございましたら、お問い合わせください。

顧問先さまにおいては、毎月の状況を把握させて頂いていることから、事業計画に合わせたご提案、タイミングを逃さない情報提供など、積極的な活用を行っております。


 

POINT

  • 申請前の事前準備
  • 社会保険・労働保険への加入を確認
  • 帳票書類の整備
  • スケジュール管理
  • 解雇は要注意

助成金の一例

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

高年齢者(60歳以上65歳未満)や障害者などの就職が特に困難な者を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対して助成。( )内は中小企業事業主以外に対する支給額。

【支給額】
(1)高年齢者、母子家庭の母など
1人60万円(50万円)
短時間労働者は40万円(30万円)
(2)身体・知的障害者(重度以外)
1人120万円(50万円)
短時間労働者は80万円(30万円)
(3) 〃 (重度又は45歳以上)、精神障害者
1人240万円(100万円)
短時間労働者は80万円(30万円)

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

職業経験、技能、知識不足等から安定的な就職が困難な下記の求職者を、無期雇用契約への移行することを前提に、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により、一定期間試行雇用する事業主に対して助成

①過去2年以内に2回以上離職または転職を繰り返している者
②離職している期間が1年を超えている者(パート、アルバイト含む)
③妊娠、出産または育児を理由として離職した者で、安定した職業に就いていない期間が1年を超える
④生年月日が1968年4月2日以降の者で、ハローワーク等で担当者制による個別支援を受けている
⑤就職支援に当たって特別の配慮を要する以下の者

1人あたり月額最大40,000円(最長3か月間)
対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合 月額最大50,000円(最長3か月間)

地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

同意雇用開発促進地域、過疎等雇用改善地域または特定有人国境離島地域等などにおいて、事業所の設置・整備あるいは創業に伴い、地域求職者等の雇入れを行った事業主に対して助成。

事業所の設置・整備費用と対象労働者の増加数等に応じて 50~800万円を支給(最大3年間(3回)支給)
・創業と認められる場合は、1回目の支給において支給額の倍額が支給されます。
・中小企業の場合、1回目の支給において支給額の1/2相当額を上乗せ

65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)

65歳以上への定年の引上げ、定年の定めの廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入、
他社による継続雇用制度の導入のいずれかの措置を実施した事業主に対して助成

措置の内容や定年等の年齢の引上げ幅、60歳以上の雇用保険被保険者数に応じて支給
【①65歳への定年の引上げ】 10~150万円
【②66歳以上~69歳への定年の引上げ】 20~105万円
【③70歳以上への定年の引き上げ】 30~105万円
【④定年の定めの廃止】 40~160万円
【⑤希望者全員を66歳~69歳の年齢まで継続雇用する制度導入】 15~60万円
【⑥希望者全員を70歳以上の年齢まで継続雇用する制度導入】 30~100万円 ※定年引上げと継続雇用制度の導入を合わせて実施した場合、支給額はいずれか高い額
【⑦他社による継続雇用制度の導入】支給上限額10万円又は15万円※左記の支給額を上限に他社における制度の導入に要した経費の1/2の額を助成

65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)

50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換させた事業主に対して助成

以下の内容を就業規則等に規定する必要があります。
①有期雇用労働者を無期雇用労働者に転換する制度
②転換した無期雇用労働者を65歳以上まで雇用する見込みがある(希望者全員65歳まで継続雇用の導入)
③計画書提出の前日までに高年齢者雇用等推進者の選任に加え、高年齢者雇用管理に関する措置を実施している(計画書提出は無期雇用計画開始日から起算して3か月前の日まで)

1人48万円(38万円)
( )内は中小企業以外の額。
支給額にかかわらず1年度(4月から3月)1適用事業所あたり10人までを上限

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

6カ月以上雇用する有期契約労働者等を就業規則に基づき、正規雇用労働者などに転換または直接雇用した事業主に対して助成。

正社員化前6カ月と比較して3%以上賃金の増額が必要となります。( )内は中小企業以外の額。

①【有期→正規】1人80万円(60万円)
2期(12か月)にわけて助成(1期あたり40万円)
②【無期→正規】1人40万円(30万円)
※ 正規には「多様な正社員(勤務地・職務限定正社員、短時間正社員)」を含む
※ 派遣労働者を派遣先で正規雇用として直接雇用する場合 ①②1人28.5万円加算
※ 支給対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合 1人 ①9.5円万円加算 ②4.75万円加算
※ 勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定した場合 ①②1事業所9.5万円(7.125円万円)加算
※人材開発支援助成金の訓練修了後に正社員化した場合①1人9.5万円②4.75万円加算 うち、自発的職業能力開発訓練または定額制の訓練修了後に正社員化した場合①1人11万円②5.5万円加算

人材開発支援助成金(人材育成コース)

職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成。
計画届は訓練開始日から起算して1か月前までに提出する必要があります。

①人材育成訓練
事業主もしくは事業主団体が、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるためにOFF-JT(事業内訓練または事業外訓練)を10時間以上行った場合に助成

②認定実習併用職業訓練
中核人材を育てるために実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練を6カ月以上2年以下の期間内に850時間以上(1年あたり)行った場合に助成

③有期実習型訓練
有期契約労働者の正社員への転換を目的として実施するためのOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練を2カ月以上の期間に425時間以上(6か月あたり)行った場合に助成

【賃金助成】 1時間760円(380円) ※+200円(+100円)
【経費助成】
①の場合 
・雇用保険被保険者(有期契約労働者を除く) 45%(30%) ※+15%
・有期雇用契約労働者 60% ※+15%
・有期契約から正規雇用への転換等 70% ※+30%
②の場合 45%(30%) ※+15%
③の場合
・有期契約労働者等 60% ※+15%
・有期契約から正規雇用への転換等 70% ※+30%
【OJT実施助成】
②の場合 20万円(11万円) ※5万円
③の場合 10万円(9万円) ※3万円
※は賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合
( )内は中小企業以外

上記情報は、令和6年2月現在の情報となりますので、要件及び支給額等変更がある場合があります。


助成金のメリット

返済不要

金融機関などの融資と異なり返済不要です。

2使途自由

使途自由

自由に使用できます。

直接利益

直接の利益となります。実際、経理処理でも収益(雑収入)として計上する利益となります。例えば、売上高に換算すると、経常利益率が5%の会社が助成金57万円の助成金を受給した場合、57万円÷5%(経常利益率)≒1,200万円 となります。 売上高ベースでは20倍の1,200万円の価値ということです。本来であれば、1,200万円程度の売上高がなければ57万円の経常利益を計上することはできませんが、助成金(雑収入)により、実質上の売上高計上の効果があります。

信用度UP

助成金の受給は、国の審査に通過したということであり対外的な信用度も高まります。

従業員満足

助成金の多くは従業員のために使った費用を補助するものとなります。従業員のための制度を充実させ、従業員満足度の高い職場作りができます。


受給にあたっての注意点

書類の整備

申請には、賃金台帳や出勤簿など法律で定められている書類の提出が求められることがありますので、日頃から整備しておく必要があります。

計画書書の作成

助成金によっては、定められた期間内に、事前に計画書の提出が義務付けられていることがあります。

最新情報の確認

賃金の一部を助成する助成金は、毎年8月に法律により根拠となる額が見直されますので、確認が必要です。

助成金間の調整

受給できる助成金がいくつか該当する場合でも、そのうち一つしか受給できないよう調整されることがあります。

報酬額
顧問先さま 着手金(0~3万円)+助成金額の15%
スポット契約 着手金3万円+助成金額の20%