交通事故

弊所は、交通事故業務のみを専門業務として行っている事務所でなくとも、連携体制が整っていることから自賠責後遺障害認定取得率が非常に高くなっております。これまでに後遺障害認定を取得した案件のみならず、幅広い範囲での専門的知識を活用するため、交通事故の専門家と連携しており、多くの知識と情報をもとに様々な角度からのサポートが可能です。事前にご説明をさせていただきますが、どの専門家に依頼すべきか悩まれている方は一度ご相談ください。これまで様々な事故被害者の方のサポートをしてきた中で、最も重要なことは不安や負担をできる限り取り除き、一日も早く前向きな気持ちを取り戻し、社会に復帰して頂くことと感じています。

交通事故から最終的解決までの過程の中で、後遺障害申請は非常に大事なポイントであることは間違いありませんが、被害者やご家族からすれば一つの通過点に過ぎないとも捉えられます。従って当事務所は依頼者からなるべく多くの話しを聞き、ひとりひとりに最も適している道筋を考えていきます。

訴訟や示談交渉の問題など社会保険労務士と行政書士の資格では解決できない内容については、弁護士との連携を整えております。交通事故にあわれて先の見通しが立たず、不安な気持ちを抱えたまま通院されいらっしゃる方やそのご家族は、方向性を見つけるためにもご相談ください。


サポート内容など

 


交通事故における行政書士の業務

交通事故の相談をするにあたって、弁護士と行政書士の違いや、どちらに相談すべきなのかという疑問をお持ちの方も多いため、交通事故業務における行政書士の役割についてご説明します。

行政書士業務の範囲

行政書士は、行政書士法に基づき他人の依頼を受け報酬を得て、権利義務または事実証明に関する書類を作成することを業としています。交通事故関連の手続きは、事実証明に関する書類が大半を占めています。書類作成には一定の経験や専門知識が不可欠です。行政書士が精度の高い書類を作成することで、解決に至った事例も多くあります。行政書士業務の範囲内では、次のような業務を行うことができます。

  • 後遺障害等級認定手続きおよび異議申立書の作成
  • 自賠責保険請求手続き
  • 事故発生状況報告書、過失割合調査書の作成
  • 損害額の算定
  • 政府補償制度への申請手続き
  • 交通事故についての上記に関する相談業務


弁護士業務との違い

弁護士法72条では、「弁護士以外の者が報酬を得て本人に代わって訴訟や示談交渉をすることを禁ずる」と定義しています。従って、行政書士は被害者の代わりに後遺障害認定手続き後の示談交渉や訴訟を行うことはできません。しかし、業務の範囲内で、交通事故解決に向けて皆さまを十分にサポートすることはできます。また、行政書士には守秘義務がありますので、安心してご相談頂けると思います。

交通事故でむちうちや高次脳機能障害が残ってしまった場合は、適切な等級認定を得ることが重要となります。適切に認定されるかどうかで、受け取れる損害賠償額は大きく変わる場合があるのです。弁護士によっては、適切な等級認定を受けた後に依頼を引き受けるという方もいらっしゃいます。交通事故で後遺障害が残った場合は、まず身近な法律家である行政書士にご相談下さい。


後遺障害認定の基本条件

交通事故による後遺障害があった場合、症状により何級かが認定されます。何級の後遺障害認定(後遺症認定)を受けたかによって損害額の算定にも影響し、保険の保障額も変わってきます。後遺障害等級認定には等級により様々な基準が設けられていますが、その等級認定の前に後遺障害が認められるには、以下に挙げる基本条件が揃わなければなりません。

  • 交通事故との因果関係が証明できる
    症状が「今回の交通事故が原因で出た症状であるか」が、自賠責保険の調査事務所によって調べられます。調査事務所は、交通事故によって生じた症状として妥当であるか、交通事故直後に生じた症状であるか、以前からあった症状ではないか、交通事故が起こったあとの、関係のない事実が原因ではないか、などを調べます。この調査で交通事故との因果関係が証明できないと、後遺障害認定はされません。
  • 医学的に後遺障害が証明できる
    医学的に証明ができない場合、後遺障害認定は行えません。医学的な証明とはレントゲン・MRI・CTなどの画像で異常が認められることです。しかし、このレントゲン・MRI・CTなどの画像では確認できない症状も多くあります。そうした症状を医学的に証明するには、治療内容や通院の状況などから総合的に証明します。原則3ヶ月以上経ってから出た症状は認定の対象外となりますが、医学的に起こりうる症状と証明されれば認められる可能性はあります。
  • 障害の回復が難しいと思われること
    「回復が難しい」ということは、診断書の記載だけでは認められません。「将来も事故による後遺症があり回復が難しい」と判断するには、通院し治療したことやその治療による症状の状況などが大きく関わります。「十分な治療を受けたが回復の見込みがない」ということが判断のポイントになります。
  • 障害により労働能力が喪失されたこと
    後遺障害が原因で、仕事ができなくなってしまったことが証明される必要があります。本人の自覚症状や後遺障害診断書だけではなく、経過診断書や診療報酬明細書、事故証明、事故発生状況報告書など様々なものから総合的に判断されます。


自賠責保険の後遺障害等級認定

交通事故による後遺障害についての損害賠償請求訴訟において裁判所に重要視されるのが、後遺障害等級認定です。裁判所の判断は、自賠責保険上の後遺障害等級認定に縛られるものではありませんが、それを基準として損害額を算定する傾向があるため、適正な保険額を請求するためには正しい等級の認定を受けることが必要です。以下にて、自賠責保険の後遺障害等級認定について、概要をご説明致します。

  • 自賠責保険と後遺障害慰謝料の算定
    自賠責保険とはご存じの通り、交通事故被害者に必要最低限の補償をするという観点から、車両ごとに加入義務が課せられる強制保険です。しかし、自賠責保険によって補償されるのはあくまで「必要最低限の範囲」に限られますので、賠償額には限度額が定められています。そのため、たとえ後遺障害慰謝料や逸失利益の合計金額が限度額を上回ったとしても、限度額までの賠償額しか支払われません。なお、自賠責の後遺障害認定結果に不服がある場合は、異議申立てをすことができます。
  • 後遺障害等級認定の基準について
    自賠責保険会社は、損害保険料率算出機構が認定した後遺障害等級を基準として賠償額を算定します。例えば、高次脳機能障害が残り後遺障害認定を受ける場合、以下のような事実が判断材料とされます。

・頭部外傷の有無
・頭部外傷後に下記の程度の意識障害があったこと
・半昏睡または昏睡状態で開眼、応答しない状態が少なくとも6時間以上続いた場合
・軽度の意識障害が少なくとも1週間以上続いた場合
・初診時の脳外傷が明らかであり、少なくとも3ヶ月以内に脳室拡大・脳萎縮が確認できること
・高次脳機能障害特有の症状が見られること

上記はあくまで一部であり、必ずしもすべてを満たしていなければならないというものではありません。頭部外傷の場合、少しでも早い対応が後の適切な後遺障害認定に繋がりますので、以前と違う様子(記憶力の低下、性格の変化、無気力等)がうかがえる場合はなるべく早い段階でまず一度ご相談頂くことが望ましいと考えます。


自賠責保険と被害者請求

被害者自身が、加害者の保険会社に対して直接損害賠償請求することを「被害者請求」と言います。これは、自動車損害賠償保障法16条を法的根拠としているため、「16条請求」とも呼ばれています。手続きの透明性が高く、提出書類や資料を被害者自身がチェックできるメリットがありますが、診断書などの必要書類は被害者自身が用意する必要があります。


交通事故と障害年金について

交通事故など第三者行為によりケガをして障害になった場合は、原因が同一事由のため損害賠償金と障害年金は併給調整されます。

損害賠償との併給調整

交通事故などの加害者(第三者)から自賠責保険等の損害賠償を受ける場合、障害年金は最大24月(2年間)支給停止されます。健康保険の傷病手当金、労災の給付との併給の場合は、障害年金が優先されて支給されますが、損害賠償との併給の場合は、障害年金が支給停止されます。支給停止の起算日は、事故日(第三者行為日)です。

障害年金について

障害年金の申請は、原因に関係なく基本的な提出書類に変更はありません。第三者行為災害の場合は、それに加えて「交通事故証明」など事故が確認できる書類(=第三者行為事故状況届)を添付します。交通事故証明は、自動車安全運転センターで交付されます。自損事故の場合も提出が必要です。業務上の交通事故(労災)の場合も同様に「交通事故証明」が必要となります。
その他、自賠責保険等の保険金支払通知書など、損害賠償金の受領が確認できる書類、賠償金の内訳の基礎となる領収書(治療費・雑損費等)のコピーも提出します。

交通事故によりケガをした場合は、障害認定日が1年6カ月後ではなく、症状が固定した日となります。支給停止の起算日は事故日となり、実際は24月より短い期間の支給停止となります。


事故発生から申請までの流れ

事故の発生 

ケガをしている場合、警察への事故報告が必ず「人身事故」として処理されているかを確認してください。
事故直後はケガがないと思っていても、後から症状が現れる場合があり、ひいては後遺障害として残ってしまう可能性もあります。警察への届け出が「物件事故」扱いとなっている場合は、医師の診断書をもって警察へ行き「人身事故」に切り替えてもらいます。
切り替えの手続は早くしておくべきです。物件事故のままの場合、治療費などが保険会社から支払われない可能性もあります。ご自身の事故が、どのような扱いとなっているかを「交通事故証明書」で確認しておきましょう。

治療中(通院・入院) 

治療中は主治医に自分の症状をしっかりと伝え、必要な検査を行いその証拠を残しておきましょう。後遺障害の等級認定は,単純に症状固定時の状態が判断材料となるのではありません。事故直後の医師の診断や症状、その後の治療経過などの資料も重要な判断材料となります。治療後を見据えた対応が必要なことから、後遺障害の等級認定は「治療中から始まっている」と言っても過言ではありません。外科や整形外科などの病院にきちんと通院しましょう。
後遺障害の等級認定においては、十分な治療が行われたにもかかわらず、症状が残ってしまったことを医師が作成した書面で説明しなければなりません。そのため、整骨院や接骨院に通院して治療を受ける場合でも、先々のことを考えて、定期的に整形外科など医師の診察を受ける必要があります。外科や整形外科などの病院にきちんと通院しましょう。

症状固定 

症状固定の時期は、主治医に慎重に判断してもらいましょう。また、保険会社からの治療費打ち切りの要請は慎重に対応しましょう。治療によって完治すれば、それがもっとも望ましいですが、あるときを境にいくら治療を続けても痛みがそれほど変わらないなど、大した効果が感じられなくなってしまうことがあります。このような状態を「症状固定」と言います。
そして、残った症状については後遺障害と考え、等級認定を受けて加害者側へ別途請求することになります。症状固定になると,それ以降にかかった治療費や通院交通費などは請求できなくなります。多くの場合、6か月程度で症状固定や治療費などの打ち切りが要請されます。しかし、まだ治療効果のあるうちは無理に症状固定とする必要はありません。症状固定の時期は、主治医が医学的に判断するものです。主治医とよく相談して慎重に判断してもらいましょう。