会社解散・会社清算

実態としては営業活動を行っておらず、休眠状態にある会社であっても、具体的には毎年の税務申告、毎年最低7万円の地方税均等割の納付(自治体によっては免除される場合あり)、取締役や監査役などの役員の任期が満了した場合の登記義務があり、これを怠るとペナルティーが課されます。また、これらの義務を履行するにも毎年一定の費用がかかることになります。そのため、現在営業活動をしていなくて、今後も営業を再開する予定がないような場合には、きちんと解散・清算手続きをして、会社を法的に消滅させることが必要となります。


解散と清算について

「解散」とは、現在行っている通常の営業活動をすべて中止し、それまでに発生した債権債務を整理する活動に入ることを意味します。つまり、会社を消滅させる為の準備期間に入ったということになります。通常は、株主総会や社員総会の決議により解散するケースが多いのですが、定款に会社の存続期間を定めていたような場合は、その期間が満了することによって、当然に解散したことになります。

「清算」とは、会社が解散したあと、それまでに発生した債権債務などを整理する活動をいい、不動産や有価証券などの現金化、買掛金など債権の回収、売掛金その他債務の返済などをすることになります。清算した結果、会社に残余財産が残る場合には、原則として株主(社員)に対して出資割合に応じて分配します。その後、株主総会や社員総会で決算報告書を承認し、清算が結了します。この「清算結了」により、会社は法的に消滅したことになります。

解散後から清算結了までの期間は、一般的に「清算期間」といいます。会社が解散した後は、速やかに官報公告に解散したことを掲載しなければなりませんが、この公告掲載の日から少なくとも2か月間は清算結了できないことになっているため、解散から清算結了に至るまでは、最低でも2か月以上の期間が必要になります。


株式会社の解散

株式会社の解散事由

1.定款で定めていた存続期間の満了
2.定款で定めていた解散事由の発生
3.株主総会の決議
4.合併(消滅会社になる場合)
5.破産手続き開始の決定
6.解散を命じる裁判

定款に存続期間を定めている会社であっても、存続期間満了前に株主総会の決議によって解散することはできます。また、株主総会の決議により解散する場合は、特別決議によって解散する旨を決定しなければなりません。

株式会社の解散の効果

4.合併、5、破産により解散した場合を除き、会社は清算手続きに入ります。4.合併で解散した場合には、消滅会社の権利義務は、すべて存続会社(新設会社)に承継されるため、清算手続きの必要がありません。5.破産により解散した場合は、通常の清算手続きではなく、破産手続きにより清算されます。

株式会社の清算 

清算手続きとは、会社消滅に向け、会社のすべての権利義務関係を清算する手続きです。株式会社では、合名会社や合資会社といった小規模な持分会社で認められているような任意清算(定款または総社員の同意により、会社財産の処分方法を決める方法)によることができず、法定清算といわれる法律の定めに従った、厳格な清算手続きのみが認められています。法定清算には、通常の清算と特別清算の2種類があります。特別清算とは、通常の清算手続きに入った会社が、債務超過の疑いがあるなどの場合に、裁判所の監督のもとにすすめられる清算手続きを言いますが、実務上は、ほとんど通常の清算手続きになります。

清算株式会社の計算

清算人は、就任後遅滞なく、清算株式会社の財産状況を調査し、財産目録と貸借対照表を作成しなければならず、清算人会や株主総会の承認を受けなければなりません。また、各清算事務年度(解散日の翌日またはその後毎年その日に応当する日から始まる1年の期間)に係る貸借対照表と事務報告、附属明細書を作成し、清算人会や株主総会の承認を受けなければなりません。

清算活動と事務の終了

  • 債権申出の公告(官報公告) 清算株式会社は、解散した後、遅滞なく会社債権者に対して、2ヶ月以上の一定期間内に、その債権を申し出るよう官報により公告し、会社が認識している債権者に対しては、個別にその旨を催告しなければなりません。なお、清算株式会社は、この債権申出期間中は、たとえ弁済期の到来した債権であっても、弁済することが禁止されています。
  • 残余財産の分配  清算手続き後、残余財産を分配するときは、清算人は残余財産の種類および株主に対する残余財産の割当てに関する事項を、決定しなければなりません。株主に対する残余財産の割当てに関する事項については、各株主の保有する株式数に応じて割当てることを内容とするものでなければなりません。
  • 清算事務の終了  清算株式会社は、清算事務がすべて終了したときは、遅滞なく決算報告書を作成し、清算人会や株主総会の承認を受けなければなりません。この株主総会の承認により、会社は法的に消滅します。 

NPO法人の解散

NPO法人の解散事由

1.社員総会の決議
2.定款で定めていた解散事由の発生
3.事業の成功の不能
4.社員の欠乏
5.合併
6.破産手続き開始の決定
7.設立認証の取り消し

社員総会の決議により解散する場合、社員総数の4分の3以上の承諾が必要になります。3.により解散する場合、所轄庁の認証がなければなりません。

NPO法人の解散の効果

5.合併、6.破産により解散した場合を除き、会社は清算手続きに入ります。5.合併で解散した場合には、消滅法人の権利義務は、すべて存続法人(新設法人)に承継されるため、清算手続きの必要がありません。6.破産により解散した場合は、通常の清算手続きではなく、破産手続きにより清算されます。

NPO法人の清算

清算人は、清算事務を執行する機関です。NPO法人が解散した場合、原則として理事がそのまま清算人になりますが、社員総会により特に清算人を選任した場合や、定款に清算人の定めがある場合は、その者が清算人となります。現務の結了とは、解散時において未了の状態にある業務を完結することをいいます。清算人は、解散した後2ヶ月以内に、会社債権者に対して、2ヶ月以上の一定期間内に、その債権を申し出るよう官報により公告し、かつ、法人が認識している債権者に対しては、個別にその旨を催告しなければなりません。

NPO法人の残余財産の帰属

解散したNPO法人の残余財産は、所轄庁に清算結了届出書を提出した時に、定款で定めた帰属先に帰属することになります。帰属先については、他の特定非営利活動法人、公益社団法人または公益財団法人、社会福祉法人、更正保護法人などとなります。なお、定款にも定めがなく、清算人から上記の認証申請もされない場合は、残余財産は国庫に帰属することになります。

社員総会決議による解散後の手続きの流れ

 

  • 社員総会による解散決議
  • 法務局で解散・清算人選任の登記申請
  • 所轄庁に解散届出書・清算人就任届出書の提出
  • 清算事務(官報公告、残余財産の分配など)
  • 法務局で清算結了の登記申請
  • 所轄庁に清算結了届出書の提出